澗口さんの新規開業講座


開業1年目は「集客」と「収客」できまる


  • はじめに
  • なぜ運転資金が必要なのか
  • 開業当初の「新規集客目標」を設定する
  • 集客数のチェックは日々行なう
  • どの媒体が一番効果があったのか
  • 当初の6ヶ月の目標を確実に達成する
  • 新規開業には確実に売上を伸ばす要素がたくさんある


  • はじめに

    開業1年目の「集客」(シュウキャク)と「収客」(シュウキャク)を中心に話を進めます。
    同じシュウキャクと読みますが、意味は当然2つあります。1つは新規客を集める「集客」であり、もう1つはお客様をリピートさせ固定化させる「収客」となります。
    新規客を集めることだけに集中するのではなく、そのお客様をしっかり固定化させることが重要だと、いくつもの成功サロンの事例ですでに実証されています。
    開業して経営が上手くいかないサロンの一番の要因は、新規集客も含めた「客数」不足です。それだけ「シュウキャク」は開業サロンにとって重要な要素なのです。
    開業すれば何とかうまく行く時代は10年以上前までであり、今はしっかり勉強し、準備が出来ているサロンだけが成功する時代になっています。


    なぜ運転資金が必要なのか

    開業時には「開業資金」だけではなく「運転資金」が必要です。
    「固定費(売上に関係なく費用として必要となるもの)」の「スタッフの給料、店の家賃など」が3ケ月分または、「スタッフの給料」の6か月分が運転資金として必要と言われています。万が一売上が0円でも、スタッフの給料、家賃は支払っていかなくてはなりません。
    物販販売には、売るためのモノの仕入が必要で仕入代を常に確保しておかなくてはなりません。当初販売予定をしていたモノが全く売れなかった場合、別の売れ筋商品を仕入れる必要があります。その資金は運転資金から捻出します。モノを仕入れ、支出と収入の時期がずれた場合(支払が先になる場合)、利益がでているにも関わらず、現金が廻らないことで黒字倒産という事態にも陥りかねません。
    理美容室の場合は、物販販売業と異なり、人の技術中心のサービス業のため、仕入の費用は売上に対し5%~15%位です。また現金取引が大半ですので、とりあえず手元の現金を回すような自転車操業的に資金の都合をつけることも可能ですが、やはり早い時期に新規集客を行なわなくてはならないことに変わりはありません。 下記の図は、開業から上手く成功への道を歩んだ10サロンの開業後1年間の「運転資金」の流れを平均したものです。成功しているサロンでも開業時の3ケ月間は運転資金が減少します。

    「運転資金」を十分に用意していても「損益分岐点」が高い場合、売上げが目標より大きく下回った結果「運転資金」が急激に減少することもあります。損益分岐点を低く抑えるには、開業当初のスタッフ数、家賃設定を低く抑えることが重要です。 スタッフは集まるときに集めてしまおうと考えてしまうのは危険です。 当初の集客数をチェックし、できるだけ早めに運転資金を集客に活用することが望まれます。お店の魅力が新鮮なうちにどれだけ集客できるかが重要になります。
    開店がゴールではありません。経営者としての実力を発揮し、自分だけではなく、一緒に働いてくれているスタッフの人生の成功の鍵もここにあります。


    開業当初の「新規集客目標」を設定する

    開業6ヶ月間の「新規集客目標」を設定し、集客のプロモーション計画を立てる必要があります。
    集客にはこれがいいという決定的なものは存在しません。立地、商圏、ターゲット層などによりその手法は様々です。開店後はプローモーションの効果を測定して効果が高いものに集中することが重要です。効果測定なしにただ広告宣伝にお金を使ってしまうことは、時間と費用の無駄です。
    ここでは、まず売上を達成するための「新規集客目標」を設定することからスタートしましょう。
    開業するサロンの規模(物件の家賃設定・スタッフ数)により、設定する売上目標金額は決まります。 開業1年目の設定は、6ヵ月後に当初の売上目標の80%を達成することを目標としましょう。


    開業月から1年間の客数目標を設定します。
    「売上目標」、「客単価」を設定して下さい。
      「必要客数」 = 「売上目標」 ÷ 「客単価」
    「必要客数」と1ヶ月目~12ヶ月目までの月の新規比率を基に「新規客数」と「リピート客数」「必要新規客数」が算出されます。これが「集客目標客数(新規客)」となり、残りが「収客目標客数(リピート客)」となります。
    どちらかというと新規客数の獲得に重点を置いて設定するべきですが、実際新規客数が目標値より低くても逆にリピート客数が多ければ問題はありません。新規客数とリピート客数の月毎の傾向値をつかみ、早い段階での対策を考えてください。目標客数が設定されたら、開業日から毎日チェックします。

    月毎に新規客数は減少し、リピート客が増加していきます



    集客と収客のチェックは日々行う

    顧客が「新規客」なのか、「再来客」(2回目)「再再来客」(3回目)「リピート客」(4回以上)なのか、日々チェックします。POSを導入頂いたサロンでは自動的に集計されます。
    「新規客」が大事なことに変わりはありませんが、成功するサロンは間違いなく新規客のリピート率も高いものです。そのお客様が何回目の来店であるかもとても重要なのです。2回目のお客様を2回目と認識して接するのと、初めてのお客様と同じに接するのとでは全くお客様の反応が異なってきます。接し方により「リピート客」になる場合もあれば、「失客」してしまう危険性もあります。
    少なくとも1週間単位で目標との差異をチェックし、早い段階で対策が必要です。「新規集客数」は足りているのか、「新規集客数」は足りているが「リピート客数」が不足しているのか。「客数」は足りているが、「客単価」が低くなっていないか、などをチェックしていくことが重要です。