澗口さんの新規開業講座


開業1年目は「集客」と「収客」できまる


どの媒体が一番効果があったのか

集客時の「来店動機」もチェックしてください。
ただ「来店動機」は単純に1つではない可能性があります。複数のチェックをしていくほうがいい場合もあります。
広告媒体による効果測定も大事になります。折込チラシ、フリーペーパー、ポスティング、ハンティングなど、どの媒体が効果があるのかを日々確認します。新規集客数だけでなく、リピートする顧客の中身もチェックしてください。投資した費用と獲得した顧客の価値(その人が何回来店しているのか、いくら使ってくれたのか)を比較する効果測定も重要です。


開業時の【新規集客の3要素】は、【広告宣伝】【店舗力】【紹介】です。
出店した商圏、立地により多少異なりますが平均するとほぼどの要素も30%前後となっています。(POSデータより)


【広告宣伝】は新規サロンだからこそ効果があるともいえます。ただサロンのこだわり、来店して欲しい顧客層がイメージできていない広告内容では、客数はとれても狙い通りの集客はできません。広告の内容はサロンのコンセプトをしっかり伝えていくことが重要です。特に【集客】と【収客】の意味をしっかり確認する必要もあります。


【店舗力】も開業時と1年後では、その効果も全く違ってきます。だから早い段階での集客が重要なのです。


【紹介】は、いわゆる「固定客」からの紹介はそんなに多くなく、実態は「新規客」が起こしているケースが多いのです。紹介の発生の確率からいえば、新規客数が多い1ヶ月~3ケ月目にいかに紹介客を作っていくのかが大事な要素となります。
紹介客が多いサロン(新規客の半数以上が紹介客)の場合は、新規客の再来率、固定化率が非常に高いというのも事実です。顧客の満足度が高くなければ【紹介】は当然起こりえません。


左のグラフは新規開業サロンの中でも紹介客の比率が高いサロンの【紹介】の発生のタイミングを調査したものです。【紹介】の80%は、新規客が4回目までに来店した際に起こっており、特に40%は初回来店時に発生していました。


【紹介】は、新規客が来店したその日に起こります。その日に誰に会うのかを確認することが大事です。その人に手渡すツールがあると有利。新規開業時は当然新規顧客を集めることですから、ちゃんと対応することで【紹介】は発生しやすくなるはずです。

当初の6ヶ月の目標を確実に達成する

サロンの経営を順調に軌道に乗せるためには、開業当初の6ヶ月の目標を設定していくこと。目標に対してその差異を日々チェックして対応をしていく姿勢を保っていくことが成功への確実な道です。


下の2つのグラフは、開業当初の「客数」が達成できなかったサロンの実例です。 実例1は、新規集客が上手くいかなかった例です。黄色のラインの損益分岐点ラインも非常に高くなっており、開業時の家賃、スタッフ数に無理があったことが原因です。このサロンの強みは、新規客は不足していたのですが、非常にリピート率が高かったことです。このサロンは2年目にもう一度サロンのデータを分析し、この強みをより活かすことで現在は超優良サロンになっています。
事例2は、当初新規集客に力を入れており、3ヶ月目には損益分岐点を超えるまでになったが、これで大丈夫ということで4ヶ月目に集客の広告宣伝を怠ったため一気に客数が減少した例。フリーペーパーでの集客がメインだったため、集客範囲が広くリピート率がかなり低いことも客数不足の原因の1つです。6ヶ月後に新たにフリーペーパーによる広告に費用をかけることで何とか客数を確保していきました。






この2つの事例は、日々の集客数チェックを行なわなかったことが目標を達成出来なかった原因といえます。
早い段階で「客数」(新規集客数、集客できている地域、リピート客)チェックができていればもっと早い段階で立ち直れていた可能性があります。それぞれ良いサロンを創ればお客様は勝手に来てくれるのではないか、新規集客だけに力を入れていれば何とか経営できると考えていたと思われます。
この2サロンはSALON POSを導入しているサロンだったため、売上が上がらない課題がデータから読み取ることができ、体制の立て直しができました。しかし、オープン時からデータを蓄積していないサロンでは、その原因をしっかり把握することができません。
原因が分からずにいろいろやってみるだけでは、なかなか上手くいかないものです。
たまたま上手くいったとしても、そのことだけが理由で解決した訳でなく、別の理由がある可能性も高く、別のところでまたつまずく危険性も秘めています。


新規開業は確実に売上を伸ばす要素がいっぱいある

新規開業にあたり「期待」と「不安」をお持ちだと思います。
以前と比べ開業前にいろいろな情報の入手が可能になりました。タカラベルモントの新規開業セミナー、開業相談だけでなく、商工会議所の無料開業相談、化粧品メーカーの企画する開業相談、開業に関する書籍などがあります。あるいは先輩のサロンからの情報もあるでしょう。開業の難しさを知るだけでなく、同時に「夢」も明確にしてください。
近頃は売上が毎年上がっているサロンにそうそうは巡り合えません。「去年より売上が上がった」というサロンはありますが、どうして?という理由を聞くと、「〇〇パーマが当たったからかな」「△△キャンペーンで新規集客が増えたから」という理由をあげるサロンが多いのですが、例えば、次回同じコトを行なったとしても成功する確率はかなり低くなるはずです。目で見えるものだけで判断してしまいがちなのですが、実はそれだけでない「本当の売上アップの理由」をつかんでおかないと継続して売上は上がらないのです。また売上を下げているサロンも「本当の原因」をつかんでいないから売上を戻すことは難しいはずです。話が長くなりましたが、売上を3年連続で上げているサロンは全体の5%しかなく、開業5年以上サロンでは1%しかないのです。(POSデータより)継続的に売上を上げているサロンのほとんどが、新規開業サロンだったのです。


新規開業だからこそ、どんどん売上を上げる可能性が高いのです。
頑張れば、「夢」が実現できるのです。


 ① 新規開業は、ゴールでなくスタートであること
 ② 開業の成功は、「開業前の準備」で決まる
    そのためには、自分自身の目標と期限(ビジョン、ミッション、コンセプト)を確定させる
    その目標を達成するための活動を行なう 
 ③ 開業1年目は、「集客」と「収客」に集中する 


今回のテーマ「集客」と「収客」は、まさしく開業1年目の新規開業サロンにとって重要なテーマだと考えています。
この後の話は次の機会でお話しましょう。